社員旅行でカンボジアに来ている。
アンコール・ワットの中心部、第三回廊に侵入する。
侵入するって書くと、いけないことをしているように聞こえるが、ちゃんとした観光ルートだ。
でも、遺跡の最深部って「侵入」っていう表現がしっくりくると思う。
回廊を出入りする唯一の階段。
ダメな人はダメかもしれないほど、急だ。
登りきると、ここが中心だということがすぐにわかる。
今まで歩いていた場所とは、なんというか「次元」が違うと感じる。
ふと気が付くと、第三回廊に登るために借りているパスのナンバーが「1」だということに気付く。
こいつぁ、縁起がいいぜ。
どこまでも石造りの遺跡「アンコール・ワット」、今、その中心部に立っている。
ガイドブックには「天界(宇宙)との交信場所だったのである。」と書いてあるとおり、中央塔にはとてつもないパワーを感じた。
この中央塔の写真は実寸大で見てほしい、彫刻等の気合の入りっぷりが半端じゃない。
・・・といったところで、アンコール・ワットの観光は終了。
帰り道、若いお坊さんが一人前になる時の儀式が行われていたりと、もう少し長居したかったが、時間切れ、日没は待ってくれない。
そう、次の観光はサンセットを見るのだ。
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やってきたのは、アンコール・トムの南側、プノン・バケン山のふもと。
アンコール・ワットの帰りにガイドさんに「ゾウに乗りたい」とわがままを言った甲斐あって、乗れることになった。
ちょうど二階の窓から乗るといったイメージ。
舗装道路+乗用車に比べると、揺れるし、遅いしで、とても効率的な乗り物とは言えないけど、それと「良い」とは別物で、いろんなことを感じた。
ゆっくり流れる時間や、さわやかな風、埃っぽいけどどこか懐かしいにおい・・・
ゾウの道には、もちろんゾウの糞も落とされるわけだが、それを掃除してお金を稼いでいる人もいるそうだ。
話を聞いた時には「大変だな・・・」と思ったが、実際のその人は、掃除をさぼってケータイをいじっていたよ・・・。
プノン・バケンを登り切ったところで振り向くと、樹海の向こうにさっきまでいたアンコール・ワットを見つけた。
今日見てきた神秘的なモノを締めくくるかのような夕日、太陽は遺跡ができる前から、ここを照らし続けてるんだよね、いったいどんなモノを見てきたんだろう・・・。
さて、夕日も見たし、おなかもすいてきたので、さっさと夕食会場に向かう。
左上のカレーが、甘いんだけどコクがあっておいしかった。
ステージ上で、展開されているアプサラの踊りも目が離せない。
反り返った指や手の動きには、それぞれ意味があるそうで、手元のパンフレットを見ながら鑑賞していたが、なにぶん踊りの展開が早すぎてついていけない。
とりあえず、センターの踊り子の指は尋常じゃないくらい反ってたのはわかった。
でも、「告って、フラれて、それでも告って、OKが出て、まわりからヒューヒューってされている」というのはわかりやすかったな。
ただ、このアプサラの踊り、ポル・ポト政権時代にヒドいことになったそうだ。
踊り子や先生が300人はいたんだが、その9割が処刑の対象となり、振り付けなどが記された書物も失われた。
しかし、難を逃れた一握りの先生たちによって息を吹き返したそうな。
・・・いつでもどこでも、戦争はろくなことがない。
さて、今日も今日とて、夜の街に繰り出すとするか・・・。
つづく
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